軌跡を刻む、未来を描く
\社史・周年記念誌シリーズ3〜社員に物語を手渡す—社史と誇りの関係/
自分の会社の歴史を知ったとき、ふと胸が熱くなる瞬間があります。
創業者がどんな思いで事業を始めたのか。
先輩たちがどんな困難を乗り越え、社会にどう役立ってきたのか。
その物語に触れることで、
「自分もこの流れをつないでいるひとりだ」という感覚が芽生えます。
これが、誇りの種になるのだと思います。
1.誇りは「帰属意識」ではない
誇りとは、単に「この会社に属している」という気持ちではありません。
もっと深いところで、“受け継いでいる”という実感に近いものです。
・会社が社会に果たしてきた役割を知ること
・先人の努力や挑戦に敬意を抱くこと
・その延長線上に自分の仕事があると感じられること
この三つが重なったとき人は「この会社の一員であること」を少し誇らしく思えるのです。
2.語られてこそ伝わる
社史は作って終わりではありません。
社員に語られ、触れられることで、はじめて意味を持ちます。
・新入社員研修で、自社の物語を知る
・周年行事で、創業からの歩みを振り返る
・資料館や映像で、歴史に触れる
こうした場面を通じて、社史は「本棚の中の記録」から「生きた物語」へと変わっていきます。
3.資生堂の事例:社史を“生きた教材”に
その好例が資生堂です。
資生堂は文化を「第四の経営資源」として位置づけ、1992年には創業120周年を記念して静岡県掛川市に資生堂企業資料館を設立しました。
そこでは創業当時からの製品や広告、ポスター、CMなどを展示し、新入社員研修や経営幹部研修の場として活用されています。
実際に資料館を訪れた社員や役員からは、
「会社の歩みが身近に感じられた」「理念がどう受け継がれてきたかを実感できた」
といった声が寄せられています。
社史を冊子で残すだけでなく施設として“体験できる形”にしたことで、歴史は社員の誇りを育てる生きた教材へと変わったのです。
会社の歴史は、数字や業績だけでは語れません。
そこに込められた人の思いや社会への貢献の軌跡が、次の世代に手渡されるとき、はじめて誇りという火が灯ります。
社史を手渡すことは、誇りを手渡すこと。
それは会社にとって、未来を育てる大切な営みなのだと思います。
周年記念に関する
おさえておきたいポイント
周年記念をきっかけにして
会社に「褒める」文化を
周年パーティ、周年旅行、社員にアイデアを競ってもらうコンテストなど、社員さんを対象にした周年記念の企画はさまざまです。
このような社員さん向けの企画のひとつが
「社内表彰式」。
永年勤続表彰以外にも、ベストパフォーマーを称える「最優秀者表彰」、新人にスポットライトをあてる「最優秀新人表彰」。
個人に加えて部門も褒める「チームワーク表彰」は、全体の士気に貢献するでしょう。
お客様からの喜びの声をもとにする「顧客満足度表彰」も、モチベーションアップにつながります。
でも、ちょっと待ってください。
社員さんを褒めることって、周年記念のタイミングに限らなくてもいいですよね。
例に挙げた表彰を毎年行えば、それだけ褒める文化が会社に根づいていきます。
同時に、多くの会社がなかなか実践できていない「お客様の声」集めや、評価制度の導入・改善もはかどるかもしれません。
お客様の声は自社の強みの発見につながり、評価制度は人材の定着にも役立ちます。
多くのプラスにつながる「褒める文化」、今日から始めてみませんか。
今週のトピックス
〈某ビジネスコミュニティの20周年〉
アメリカ発祥の世界的ビジネスネットワークの日本法人が来年20周年を迎えます。
我々は、全体企画の叩き台として、複数のアイデアをご提案させていただきました。
この提案を元に、これから議論が深まって行くのだと思います。
この提案には「20周年記念誌」の編纂も含まれています。
メンバーの方へ、会の発展の歴史をお伝えすることで、組織の所属に対する誇りを高めて頂けると、とても嬉しく思います。
どのような結果になるか、まだ分かりませんが、総合力が求められる案件で、力が入りますし、我々の強みを発揮できると考えています。
スケジュール的には、ちょうど半年後…
ここからは、緻密な管理も必要になります!
今月の名言/銘言
鳩のような素直さと、
蛇のような知恵を身につけよ
マタイ10・16
メンバーコラム
三島 進 Susumu Mishima
このコーナーは、JAPAメンバーの自由投稿です。メンバーがリレー式で投稿します
「周年記念は必要なのか?」私自身、曲がりなりにも経営をさせていただいて、もう少しで20周年。
思い返せば、あっという間の出来事…という訳でもなく、一年一年にしっかりとストーリーがありました。もちろん、大失敗した事は今でも鮮明に覚えているのですが、上手く行った時ほど「人様のおかげ」である事が多いなと感じます。「失敗は自分のせい。成功は誰かのおかげ」私だけかもしれませんが、ついつい反対の事を思ってしまい、振り返りの機会があるたびに、「やっぱりそうでは無いな…」と自分の不甲斐無さを痛感しております。周年記念に限らず、社長が「節目」を作り振り返る事の重要性。そして、大きな節目では全社で同じ方向を向くために、周年記念が必要であると強く感じます。当社もそろそろ準備しないとな…